「ふゆみずたんぼ」(冬期湛水水田)とは、冬の間も田んぼに水を張り、田んぼに生きる原生生物やイトミミズ、渡り鳥など多様な生き物の力を借りて、無農薬、無化学肥料で米作りを行う農法です。江戸時代の文献に「田冬水」として記録が残っており、生態系の力を使い、田んぼの機能を改善する、古くて新しい自然再生農法として注目を集めています。冬に水を張ることによって、水の中に菌類やイトミミズが大発生。ガンやハクチョウなどの渡り鳥がねぐらとしてやってきます。稲の切り株やワラは微生物によって分解され肥料となり、水鳥の糞に含まれるリン酸や窒素は土の養分となります。田んぼに生息しているイトミミズやユスリカは、有機物を含む土を食べ、その糞が分解され、粒子が細かく栄養に富んだ土を作りだします。それが「トロトロ層」となり、雑草の種を沈めて抑草効果に繋がります。そして春には水を張った田んぼにカエルが産卵をします。害虫が発生する頃に、カエルやクモが活躍して、害虫を食べてくれます。蕪栗沼周辺水田は、2005年に【ラムサール条約湿地】に世界で初めて水田として登録されたことで有名です。このエリアは、長年にわたり農家や市民が協力して田んぼを湿地に戻し、ふゆみずたんぼを増やすことで、10万羽を超える渡り鳥の休息の場として越冬しやすい環境を作ってきました。また、この地を含む「大崎耕土」の農業システムを未来に残すべく「生きた遺産」として、2017年に世界農業遺産に認定されました。
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